下処理されて真空パックにされている筍しか見たことない人にとって、掘りたての筍というのはどうすればいいのか困ってしまうという人は多いものです。筍は皮をむいてそのまま調理できるわけではなく、アク抜きという作業が必要です。アク抜きをしないと、えぐみを感じて美味しさがなくなってしまったり、ときにはアレルギー症状を引き起こすこともあります。アク抜きは難しい作業ではありません。覚えておくことで、美味しい筍料理を食べることが出来るようになる大切な作業です。
目次
筍のアク抜きをする前の準備
春になると、スーパーなどでも皮のついた筍を見かけるようになります。調理方法がわからないからと敬遠せずに、正しい筍の選び方と下処理の仕方を覚えておくといいでしょう。
スーパーで皮のついた筍を選ぶ際には、せっかくなので美味しい筍を選ぶことが大切です。
見極めるコツは、まず切り口をみます。切り口がなるべく白くみずみずしいものを選ぶようにします。筍というのは切って空気に触れると、だんだん変色してきます。切り口が白いという事は、切ってから時間がまだ経っていなくて新鮮という事です。ついている皮は出来るだけ薄い色をしたもの、先端は黄色っぽくなっているものが美味しいとされる基準です。太陽の光が当たると、皮は濃い色になりえぐみが増してしまいます。特に、先端が緑や黒っぽくなっているものはえぐみが強い筍なのでなるべく避けるようにします。そして持った時にずっしりと重みを感じるものは、みずみずしい証拠です。実が太っていて、持つと重みがある筍を選んで買うようにしましょう。
スーパーで購入したものは土が落とされていますが、ご近所から頂いた筍などはまだ土がついているものもあります。下処理する前に、土はなるべく落としておきます。そしてアク抜きに必要なものとして、筍2~3本に対して米ぬか1カップ、そして唐辛子1本を準備します。下茹でするには、深さのある鍋も必要です。特に、米ぬかは普段家庭にない場合も多いので、春が近づいたら準備しておくといいでしょう。
アク抜きをする前の下処理
材料が準備できたからといって、すぐにアク抜きが出来るわけではありません。アク抜きの前には下処理をします。まず筍の先端を斜めに切り落とします。だいたい筍の長さの5分の1程度が切り落とす目安です。皮がついている筍を切ったことがある人はわかりますが、筍の先端というのは実が詰まっていません。皮が幾重にもなっている部分です。食べられる部分ではなく、アク抜きをする際に火が通りにくいために、あらかじめ切り落としておくといいのです。次に、切り落とした部分に、今度は筍に対して縦に切り込みを入れていきます。深さはだいたい1~2cm程度、筍本体にあたる手前の深さまで切り込みを入れます。この切り込みを入れることで、実に火が通りやすくなるのです。筍の状態にも寄りますが、根元は数センチ程度切り落としておけば大丈夫です。変色が進んでいる場合は少し多めに切り落としておくといいでしょう。 下処理できた筍を、深さのある鍋に入れます。そのとき、筍同士が重ならないように注意します。準備してあった米ぬかと唐辛子を入れ、筍が被るくらいまで水を入れたら下処理は終了です。
筍のアクを抜く方法は?
処理が出来たら、いよいよアク抜きをします。すべて準備した鍋を、強火で火にかけます。お湯が沸騰したら火を弱火にして、そのまま40分~1時間程度茹でていきます。このときに、お湯が吹きこぼれないように注意することが大切です。茹でている間は、筍が浮いたり飛び出したりしやすくなります。筍は茹でている最中に空気に触れてしまうと、酸化して色が悪くなってしまいます。落し蓋をして、筍が空気に触れないようにすると安心です。筍の大きさによって茹で時間は異なります。最も火の通りにくい根元に竹串を刺し、スッと入るようなら火を止めます。あとは、そのまま自然にお湯が冷めるのを待つのです。このとき、早く冷まそうと思って流水に浸してはいけません。火を止めて自然に冷ましている間にもアクが抜けていきます。急激に冷やしてしまうと、アクが抜けきらずにえぐみが残ってしまうのです。放置しておくだけで大丈夫なので、鍋がしっかり冷めるまでそのままにしておきましょう。これでアク抜きは完成です。
他のアク抜きの方法は?
米ぬかがあれば筍のあく抜きは簡単にできますが、なかなか米ぬかがないという家庭は多いのではないでしょうか。新鮮な筍を急にもらったから、早くアクを抜いてしまいたいという時は、他のもので代用することも出来ます。
例えば、エコ掃除としても有名な重曹です。キッチンまわりの汚れ落としに活用できる重曹は、常備している家庭も多いのではないでしょうか。重曹を使っても簡単にアク抜きをすることは可能です。 水1リットルに対し、重曹を小さじ1杯をいれてお湯を沸かします。沸騰している重曹入りのお湯の中に、皮をむいて半分に割った筍を入れて茹でるのです。この時のゆで時間は10分ほど、あとは火を止めてそのままの状態で冷まします。重曹で茹でる場合は、長時間茹で過ぎないのがポイントです。
もし掘りたてで新鮮な筍を頂いた場合には、大根を使ってアク抜きをする方法があります。まず大根をおろし、しぼり汁に同量の水を加え、加えた水に対して1%ほどの塩を入れてよく混ぜ合わせます。そこに、皮をむいて調理する大きさに切った生の筍を1時間ほど浸しておくのです。1時間ほど経ったら、最後に2分程度茹でたらアク抜きは完了となります。長時間茹でるわけではないので、筍本来の歯触りを楽しむことが出来るアク抜き方法です。
重曹・大根・塩水でのアク抜きは、家庭にあるもので出来る方法ですが、どれも新鮮な筍に向いている方法です。スーパーなどで売られている、収穫してから時間の経過した筍は、米ぬかを使ってしっかりアク抜きをする方が美味しく食べることが出来ます。筍売り場の近くには、一緒に米ぬかも売られていることが多いので一緒に購入するといいでしょう。
筍の皮を剥くときのポイント
筍を皮付きのままアク抜きしたとき、いったいどこまで皮を剥けばいいのか迷うという人は多いのではないでしょうか。しっかり冷めてアクが抜けていることを確認した筍は、まず水洗いしてぬかをきれいに洗い落とします。ぬかを洗い流したら、下処理の際に入れた縦の切込みに沿って指を入れ、皮を剥いていきます。このとき、姫皮と呼ばれる先端の内皮は、やわらかくて美味しい部分なので捨てずに残しておくことがポイントです。一般的には皮の部分は捨ててしまうことが多いのですが、実は白い皮の部分は食べられる部位です。姫皮よりも繊維が気になる部分ではあるため、細切りや千切りにしてきんぴら等にむいています。歯ごたえが残っていて、美味しく食べることが出来るのです。
皮を剥いた筍は、真ん中から先端にかけては包丁を縦に入れて切り、根元の部分は横に包丁を入れていきます。先の部分は柔らかく、根元の部分は歯ごたえを感じられる食感となるので、部分ごとに調理方法を変えても美味しく食べることが出来ます。
アク抜きをした筍の保存方法
筍のシーズンはとても短いので、ときには一度に食べきれないほどの筍を頂くことがあるかもしれません。アク抜きをしてしまえば、筍は保存することも出来ます。アク抜きをして皮をむいた筍を、密封できる容器に入れ、完全に水に浸した状態で冷蔵保存します。水は毎日新しいものに交換すれば、だいたい1週間ほどは保存しておくことが出来るのです。多くて食べきれない場合や、誰かにおすそ分けする際にはこうした保存方法を利用するといいでしょう。
また、冷凍による保存方法もあります。アク抜きして皮を剥いた筍を調理しやすい大きさに切っておきます。キッチンペーパーでしっかりと水気をふき取ってから、冷凍可能な保存袋に入れて冷凍保存するのです。冷凍した筍は、だいたい1か月程度を目安に使い切るようにします。水に付けて冷蔵保存するよりも長持ちはしますので、大量に貰ったときなどは便利です。冷凍保存された筍は、使いたい分だけはがして調理することが出来るので、炒め物やみそ汁の具などにむいています。ただし冷凍保存すると、繊維が破壊されて筍の食感が変わってしまうので、筍本来の食感を楽しみたい場合は冷蔵保存にしておくほうがいいと言われています。
筍を使ったおすすめ料理
筍料理の定番と言えば、やはり筍ご飯です。筍本来の食感や香りを思う存分楽しむことが出来る定番メニューと言えるでしょう。市販の調味料を使って簡単に作ることが出来ますが、せっかくなので少し手間をかけて作るとより美味しい筍ご飯を味わうことが出来ます。
まずは米を研いで水に30分から1時間ほど浸水させておきます。その間に筍をきって準備しておくのです。筍は少し大きめに切るようにします。先の部分は、縦に包丁を入れて5ミリほどの薄さ、根元の部分は横に包丁を入れた後、繊維を切る感じで5ミリ幅のいちょう切りにします。調味料は、米2合に対してだし汁300ミリリットル、薄口しょうゆとみりんが共に大さじ2と2分の1です。あれば油揚げなどを入れても美味しく炊きあがります。浸水させてあった米を、一度ざるに上げてしっかりと水切りします。米を内釜に移したら、しょうゆとみりんを入れます。そこにだし汁を合わせていきますが、内釜にある2合の目盛りまでだし汁を入れることがポイントです。内釜によって必要なだし汁は調整するようにします。米の準備が出来たら、油揚げ・筍の順番に上に重ねていき、炊飯器のスイッチを入れたらOKです。しっかり浸水してあるので、普通炊きコースで美味しく炊きあがります。炊きあがったら、ざっくり混ぜ合わせてから茶碗に盛れば完成です。
次も定番の若竹煮です。簡単に出来て素朴な味が人気のメニューとなっています。筍は薄切りにし、塩蔵のわかめは水で戻して食べやすい大きさに切っておきます。鍋にだし汁1カップ、みりん大さじ2としょうゆ大さじ1、塩を少々入れて熱し、まず筍を入れて3~4分煮て、火を止める前にわかめを投入しましょう。火を止めたらそのまま10分ほど置いて味をしみ込ませたら完成です。
お弁当のおかずにもピッタリな筍の土佐煮も人気です。筍を一口大に切り、鍋に水1カップ・だしの素小さじ1・酒大さじ1・みりん大さじ1・砂糖大さじ2分の1・薄口しょうゆ大さじ1を筍と一緒に入れて中火にかけます。沸騰したら弱火にし、ゆで汁がほとんどなくなるまで煮込みます。最後にかつおぶしをまぶしたら完成です。
筍の先端にある姫皮は、みそ汁の具に最適です。定番の味噌汁を作り、味噌を溶かしたら最後に姫皮を入れると美味しく仕上がります。
ちょっと変わったメニューだと、麻婆たけのこは、ご飯がすすむおかずと人気です。
まずにんにく1片とショウガ1片、白ネギ2分の1本をみじん切りにします。筍は2センチほどに角切り、彩のいいパプリカ4分の1も適当な大きさに切っておきます。フライパンに油を入れて熱し、しょうがとニンニクを炒めて、香りが出たらひき肉250グラムと筍、白ネギ、パプリカを一緒に入れて炒めていくのです。ひき肉に火が通ったら、事前に合わせておいた水300cc・酒大さじ2・しょうゆ大さじ1と1/2・鶏がらスープの素小さじ2・砂糖小さじ2・豆板醤小さじ1を投入しひと煮立ちさせます。最後に水溶き片栗粉を加えてとろみをつけたら出来上がりです。筍のシャキシャキとした歯ごたえがご飯によく合います。 筍は和風メニューに合うと思われていますが、和風だけでなく洋風や中華にもよく合います。アク抜きは難しい作業ではないので、覚えておくといいでしょう。
筍のアク抜きに挑戦しよう
筍は水煮にして年中売られていますが、本来、筍が美味しい旬の季節は春から初夏にかけてです。だいたい早いと2月ぐらいから店頭に出回り始め、5月くらいまで店先では見ることが出来ます。最もたくさんスーパーで見ることが出来るのは4月ごろではないでしょうか。日本で一番良く見られるのは孟宗竹といって、太くてずっしりとした重みがある筍です。えぐみが少なく、やわらかい食感が人気となっています。どのような料理にも合いやすく、親しみやすい種類です。
スーパーで美味しいそうな筍が生で販売されているのを見かけたら、米ぬかと一緒に購入して、先に紹介したアク抜きを試してみましょう。アク抜きにかかる時間は下処理を含めてだいたい1時間ほど、あとは冷めるのを待つだけです。旬のものは、下処理された食材では得られない食感や香りを楽しむことが出来ます。忙しい毎日でも、たまには旬な食材を家族みんなで味わってみてはどうでしょうか。
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