古い平屋をリノベーションして、家族3人で暮らす北川さん。
信頼する建築家さんに全面的におまかせした、というキッチンは昭和の日本家屋の雰囲気を残しながらも、北欧のテイストも感じられる、あたたかな雰囲気です。
後編では、郷土愛にあふれる愛用道具を紹介します。
vol.13 北川桂さん(「北川ベーカリー」主宰)
北川さんの愛用道具
五十嵐元次さんの器
器好きな北川さん。さまざまな陶芸家の作品を多く持っていますが、中でも一番よく使う器は、福島県会津で作陶する陶芸家・五十嵐元次さんのもの。少し厚みのある磁器で、ぽってりとしたやわらかな手触り、素朴な絵つけが気に入っているそう。
鉄製のフライパン
キッチンの出窓がフライパンの定位置。テフロン加工がされたものはあまり好きではなく、火の入りやすさを考えると鉄製のものばかりに。一番上の注ぎ口がついたものは南部鉄器、一番下の中華鍋は職人による打ち出し製法で知られる「山田工業所」のもの。
またたびで編まれたざる
昔から伝わる生活道具に目がなく、気がつけばたくさん集まっていた、というかごやざる。青竹、鈴竹などさまざまな素材のものがありますが、会津の特産といえばまたたび。白い木肌がナチュラルな雰囲気で、カトラリー入れや皿代わりにも。
家族のお弁当箱は、曲げわっぱ
幼稚園に通う長女の葉ちゃん、ご主人のために毎日作るお弁当。お弁当箱は、親子そろって曲げわっぱだとか。木でできているため水分を程よく吸い取ってくれ、冷たくなったごはんでもおいしく食べられるのは、曲げわっぱならでは。
私の勝負めし「こづゆ」
会津地方に江戸時代から伝わる郷土料理、こづゆ。「お正月などおめでたいときに食べるものなんです。帰省したときに必ず食べたくなる、地元の味です」
<作り方メモ>
「干し貝柱を使うのが、海から遠い会津らしいところ。干し貝柱でだしをとり、食べやすいサイズに切った里芋、きくらげ、にんじん、糸こんにゃく、まめ麩をしょうゆで煮ます」
北川さんにとってキッチンとは?
「毎日いるところ。1日3食作るので、1日のほとんどの時間をキッチンで過ごします」
取材・文 高橋 紡
写真 萬田 康文